むしろ高給でスカウトしたいシニア人材
先日とても爽やかな経験をした。
新しい街に越して数か月、初めてそのクリーニング店を訪れた。
対応してくれるのは新人さんの様子。
会員カードは持っているか、無いならアプリの会員証もあるから等々薦められ
私は受付をしつつ、アプリをダウンロードする。
持ち込んだのはスリーピースのスーツ1着。
「汗抜き加工もありますよ」と新人さん。
「まあ、特に結構です」と私。
「でも、気持ちいいんですよ、汗抜き加工」と新人さん。
この新人さん、なかなかの営業マンだ。さすがは人生のベテラン。
なんとこの新人さんは80を有に越したおばあちゃんなのだ。
「じゃあ、お願いします」と私。おばあちゃんが返した一言はこれ。
「素直で大変よろしい」
褒められた私は思わず笑ってしまう。
このやりとりを後ろで聞いていたのか、「社長さん」とおばあちゃんから
呼ばれる男性がひょっこり顔を出す。この方も80過ぎのおじいちゃんだ。
お金を支払うところの私に、社長からはこんな一言。
「釣りは要らねえ、なんてね」
思わず吹き出してしまった。
かつての商店街には、このようなくだりが数多く見かけられた。
なにせ、商店主はこちらを子供の頃から見知っている。
「坊主大きくなったな」などと親戚のおじさんまがいの会話があったものだ。
街じゅうに家族がいた。顔見知りがいた。みんなが見守ってくれる中で育った。
そんな昭和の温かい地元の雰囲気を、束の間味わった。
そういえば、近所の工事現場では、こちらも70近い警備員さんが、
目の前を通る人々に優しく声をかけ続けている。思わず挨拶を交わしてしまう
自然なふるまい。
こんなシニアならスカウトしてでも仕事を手伝ってほしい。
久しぶりに訪問するおじいちゃんの家。そんな気分にさせてくれる宿なら、
きっと暖かいもてなしが出来るはずだ。